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『日蝕/平野啓一郎』を読んで [(そして本も)]

新しいカテゴリー「(そして本も)」を作りました。
実家に帰省中、音楽を聴ける環境ではなかったのですが、
本を読むことは可能でしたので、早速読んだ本の感想です。

日蝕/平野啓一郎
昨年末本棚の奥から出てきた本です。
本当は「蝕」の字が旧字体になっています。

そう、題字からして、普通と違うゾ!というオーラを出していたので、おそらく数年前に買ったと思われますが、なぜかそのままになっていました。

とにかく文体がスゴイですね。
旧字体だけでなく、漢文調、
そして、ルビなしでは読めない漢字の羅列。
こういうのをうっとおしいと思ったら、もう前へ進めないと思います。
私は、大学入試半年前くらいに、進路を急転回、
漢文の美しさ(旧字体が並んでいる見た目の美しさ)に心奪われ、
その方面に進むことを決めました(←周りからはアホ扱いされました!)。
その頃、中国の古典の、白文と書き下し文とに分けて書かれている本を、
毎日白文で読むことにチャレンジしており、
その時のことを思い出しました。
だから、この文体には、格別違和感もなく入っていけましたが、
内容についていくのが大変でした。
なにせ、読み始めてしばらくの間、舞台が現代だと思い込んでいて、
なんかおかしい、と気づくまでおよそ10ページも要してしまいました、不覚!!
宗教上のこと、哲学的なことなど、そのことはどういうことなのかとつきつめて考えると前へ進めないことには目をつぶり、とにかく読み進めていくと、
やがて、錬金術の話となり、急に目が輝いてきました。
錬金術といえば、中国の仙人。
そういう話も、大学時代は読みましたが、
舞台はフランス、仙丹とか練丹術とかいったものではなく、
目指すは賢者の石。
(「賢者の石」といえば、ドラクエを想像する程度のオツムです、はい)
そして、両性具有者、魔女裁判と、スゴイ世界が一気に展開していくのに、もう目が離せず、読みきってしまいました。
魔女裁判による焚刑の場面では、本当にひきこまれ、しばらくぼーっとしてしまいました。
これも、この文体のきらびやかなせいかもしれません。
文体と、摩訶不思議な世界とに、酔ってしまった感覚です。
スゴイ本に出会いました。

で、この著者はというと、今『ウェブ人間論』で話題なんですね。
ベストセラー嫌いなのに、『ウェブ進化論』は読みました。
結構おもしろかったので、『ウェブ人間論』も読みたくなってきました。
書籍代を極力控えるという今年の目標も、なかなか難しそうです。

日蝕

日蝕

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 文庫

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コメント 4

e-g-g

本の、それも気に入った本の紹介は難しいものですが、読まれたときの興奮がごく自然に伝わってきます。これは読まずにはおれません、ね。
by e-g-g (2007-01-05 19:31) 

のすけの母

そうですね。自分でいいと思ったことを、第三者に伝えるのは、難しいです。
「読んだゾ」という自分のための備忘として、本の感想は書いています。
それでも、eggさんのように仰っていただけると、嬉しいです。
by のすけの母 (2007-01-05 23:17) 

あかり

こんにちは!遊びにこさせていただきました!
平野さんの作品は文章が美しくて、それだけで満足してしまうような、この日蝕という作品、私も好きです。高校時代、平野さんに憧れて京都大学にはいりたくて・・・・(笑)無理ですが(笑)
せめてもの京都の大学に、といった感じで本当に憧れでした。
魔女裁判に関しては、大学の授業で習った時に思い出しました!この本を。
by あかり (2007-01-12 23:25) 

のすけの母

aliceさん、ようこそご訪問くださりました!!
平野さんの本は、これっきり結局読んでおりません。
この本をきっかけに、次も!と思ったのですが、
興味だけは、あれもこれもと広がるのに対し、時間は増えませんから。
でも、いずれ読んでいきたいと思っています。
また、よろしければ、ご訪問ください。
私もお邪魔致しますね。
by のすけの母 (2007-01-12 23:41) 

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