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大エルミタージュ美術館展 [(そして絵も)]

いつぞやTVでやっていた〝冬季うつ病〟はきっと私のこと、と思うほど、寒いのは苦手です。冬、それも冬真っ只中に生まれたくせに、冬の日の短さ・雲が立ち込めたときの暗さが、私を鬱々とさせます。しかし、今朝は昨夜の雨もあがり、日の光が明るく、私を外へ誘うので、それじゃぁとばかりに、名古屋市美術館へ出かけました。そう、前売り券まで買ってあった「大エルミタージュ美術館展」です。

去年のゴッホ展のごったがえしを経験しているので、ある程度は覚悟して行ったのですが、
開館して間もなくに着いたので、十分耐え得る人出でした。
それでも、この展示の目玉や、有名画家の作品の前は、人だらけでまともに見られません。
それで、どうしても見たい絵を中心に見ることにしました。

ただし、ゴーギャンの絵には、やはり立ち止まってしまいました。
ゴーギャンは、
福永武彦つながりで関心を持ちましたが、
絵自体を「とてもいい」とか「とても好き」というのではありません。
やはり、崇拝していたと言ってもいい福永武彦の愛したゴーギャンだから、その絵は避けて通れなかったのです。
今日のように直に見たり、あるいは画集で見たりするゴーギャンのタヒチの絵は、
楽園を求めていったはずなのに、どれも翳を感じる目をしているので、
いつもいつも気になって、どうしても目をとめてしまいます。
福永武彦も『風土』の中で、

  一種のもどかしさ、未開人として生きられないもどかしさを
  彼(=ゴーギャン)の絵に感じる。
  彼のタヒチは、やはり文明人のタヒチにすぎない。

と、作中人物の桂に言わせています。
今回の「果実を持つ女」もそうです。
ゴーギャンの無言の訴えが響いてくる感じです。
決して好きな絵ではないのですが、見ると目が離せなくなる絵です。
もしできるならば、「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」の実物を見てみたいです。

あとよかったのが、アールト・ファン・デル・ネールの「夜の町」です。
夕闇におおわれた一面モノクロの世界なのですが、空の向こうにうっすら明かり(月明かり?)が見え、なんともいえない情趣を描いています。
この絵の前で釘付けになってしまい、何度も戻ってきては見ていました。

それとは対照的に、光の描き方が素晴らしいヤン・ウェイセンブルフの「アルンヘムの風景」もなかなかよかったです。

2000円奮発して、カタログを買ってしまいました。
(重かった!!)

 


 


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ヒロノミン

こんばんは。
のすけの母さんは絵画鑑賞も嗜まれるんですね。クラシック好きな方は絵画も好きな人が多いような気がします。
私には絵心というものに欠けていて、展覧会にはなかなか行かないんですが、このエントリーを見て京都の展覧会には行ってみようかなあと考えてみたりしてます。
いい絵画からは、何か強く感じるものがあるんでしょうか?私の心にはベートーヴェンやブラームス程には雄弁に語りかけてくれないんです(T_T)
by ヒロノミン (2007-01-29 19:15) 

のすけの母

「絵画鑑賞」なんて、そんなたいそうなことではないんですよ。
単純に絵を見るのが好きなだけです。それも、高校の芸術では音楽を選択し、美術は中学以来縁がありません。
まったくのど素人が、「好き嫌い」で語っているだけですよ。

それより、ヒロノミンVさんのように、一枚のCDからいろんなことを感じ取れる方がすばらしいと思います。
私はまだまだ……いや、全然です。
by のすけの母 (2007-01-29 22:20) 

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