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『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ/太田直子』 [(そして本も)]

先週の朝日新聞の「読書」のペーシに、
「歴史から構造へ 精緻な神話研究」としてクロード・レヴィ=ストロース
   『神話論理Ⅰ 生のものと火を通したもの』
   『神話論理Ⅱ 蜜から灰へ』
が紹介されていて、評を読むとおもしろそう、でも、絶対読めないな(←私には難し過ぎる!)と思い、それでも一応その部分を切り取っておきました。
で、その裏面は、その日は見過ごしていたのですが、
たまたま裏返したら、「筆者に会いたい」として、この本が紹介されていたのです。

     『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ/太田直子』

とてもおもしろそうなので、本屋で探し、早速読んでみました。
やはり、おもしろかったです。
というより、「同感」と思うところが多々あり、嬉しかったというところでしょうか。

【同感 その1】「混ぜ書き」に眉をひそめる(例;「危惧」→「危ぐ」)
ひらがなで書いてしまうと、なんのことか意味がわからなくなってしまいます。
漢字が読めないと思うならルビをふればいいのです。
ひらがなを混ぜて書くことで、ぱっと見て意味を把握できないし、
なにより、日本人の日本語力の低下を招くしかないと思うのです。

【同感 その2】教養の壁
映画でも小説でも、説明が多すぎるのはよくない、いや無粋だと思います。
「これくらいは知っていて当然」ということで説明なしで物語が進んだとき、
私の中高時代なら、その知らないことを「知らない」と言えず、
知ったかぶりをして、影で調べて調べて調べて調べて人並みに追いつこうとしました。
知らないことは恥、知らないことを知らないと開き直ることは恥でした。
それなのに、今の世の中、
「だって知らないも~ん」
「そんなもん、だ~れも知らないんだから、ちゃんと説明してよ~」
と平気で言える世の中。
非常に違和感を覚えます。

【同感 その3】「(笑)」は好きになれない
私も、実はメールでもこのブログでも、「(笑)」は使えないでいます。
なんか気恥ずかしい……いや、もっと違うなにかがあると思っていたのですが、
この本を読んで氷解しました。
  「あまりに安易だし、笑いを強要されているようで、うんざりする」(49ページ)
そうなんです。
「ここは笑うところですよ。笑えないあなたは、笑うツボがわからない人ですよ。」
と指摘されているみたいに思えるのです。
(全ての人がそうではないことは十分わかってはいます。)
でも、私は「(涙)」は使っているので、えらっそうなことは言えないな、と大いに反省しました。
「!」も「?」も「♪」も「☆」も多用していて、そういう目で読み直すと、恥ずかしくて恥ずかしくて、
これはもう全部削除して、全部書き直す必要にかられそうです。
著者の太田さんは、ブログを「『しゃべるように』だらだら書くだけで、読み手への配慮は一切ない。仲間内だけのいびつな言葉遣いでつるみ、考えや立場のちがう人たちとはコミュニケーションしようとしない」と言っています。
概ねそういう傾向があることには同意します。
だからこそ、こんなブログでも、何度も読み直し、「てにをは」を入れ替え検討し、消しては書き消しては書きの推敲をやっています。
そういう配慮を、「(涙)」「!」「?」「♪」「☆」にもしなくてはという自戒の念を引き起こしてくれた本でした。

まだまだ、いろいろあるのですが、これくらいでやめておきます。

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

  • 作者: 太田 直子
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/02/16
  • メディア: 新書



 


 


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ask

【同感】に〈同感〉です。また、特に【】でくくってある、というオンラインでは非常に珍しい表記にも。
この本、私も目についたので、今部屋の中の「ツン読本」の山の中にあります。プライオリティを上げます。
by ask (2007-03-11 17:22) 

 わお、「(笑)」、だめですか……わたくし、たっくさん使っています。
 何だろう、文字だけだと、どうしてもつよく、きびしく響いてしまって、それがいやだなあ、と思う時には、入れます。
 笑いどころ、と云う意味ではなく、自分はこの言葉を、苦笑いしながら言ってるのだよ、とそんな気持ちですね……。(笑)ばっかりになってしまう時は、(ふふ)など使ってみたり。

 ただ、別にこれと云った理由はないのですが、顔文字を使用しない、は、文章を書く上で、自分に課しています。他の方のものは、まったく構わないですし、むしろ、あはは、こんなパターンもあるのか、すごいな、と感心しているくらい。
 それでも、自身では使わない、使えないのですよね。
 これは、やはり、文は人なり、と云う事で、もう各々の好みの範疇なのでしょうか。

 平井堅さんが、"メールで「(笑)」は、絶対に、使わないことにしています。でもその代わりに、顔文字を多用しています"、と言っているのを聞いて、人それぞれなんだな、とつくづく思いました。

 ところで、ネットは、知ったかぶりをするに、非常に役立ちますよね……( )。←ふふ、入れたいなあ、ここに……。
by (2007-03-11 17:55) 

e-g-g

例によって書店で立ち読みしました、買っていません。
【同感】はみな同感です。いちばん話が盛り上がりそうな【その3】について少し。
(笑)は私も使いません。かなり嫌いな部類に属しますね、あと(爆)も同じく嫌です。
「あまりに安易だし、笑いを強要されているようで、」それもあるかと思いますが、書き手の恥じらいの表現の場合もありますね。あまり多く使われると、結論をはっきりさせない、あるいは先延ばしするような印象も出てきます。自己嘲笑は時と場合によっては微笑ましいこともありますから、一概に否定は出来ませんが、ほどほどにすべきと思います。
私もこの便利な(笑)を使いたくなることがありますが、それは何かを言い足りないか、内容に自信がないか、いずれにしても半端な状態の証と思ってますので、使いません。
それよりも、 私の目下の課題は「、、、」を無くすことです。

「!」「?」、そもそも古式ゆかしい日本語の文章作法には無かったはずですが、もう市民権を得ているのではないでしょうか?多用しなければ。

ブログについての太田さんの見解は、しごく真っ当と思いますね。でも、これはネット以外の人の付き合いの場でも多かれ少なかれあることでしょう。パーティなどで当たり障りのない話をして、うまく人の輪を飛び歩く人、ちょっとアウトサイダーを気取って人を煙に巻く人。ともかく、コミュニケーションは楽しさと難しさが背中合わせです。その力をもっともっと磨きたいとは思っていますが、なかなか進歩しません。(と、ここで(笑う)を入れると、まぁ、そんなもんです笑ってやってください、ということになるのですね。便利といえば便利です)
by e-g-g (2007-03-11 20:35) 

のすけの母

askさん、はじめまして。
賛同いただき、ありがとうございます。
【】は珍しいですか。
いろんなカッコがありますが、【】はかなり好きで、多用するきらいがあります。
この本を読んで、何気ない表記にも気を配らないとと思ったものですから、多用は厳禁ですね。
by のすけの母 (2007-03-11 22:40) 

のすけの母

レモンさん、ごめんなさい。
なにもレモンさんを困らせるために、こんな文章を書いたのではないのです。削除しようかしらと思いましたが、もうコメントがついていて、手遅れです。
レモンさんの場合は、コメントに多いでしょう。
コメントは話言葉のようなので、私も記号を多用していて、本当に人のこととやかく言う権利はありません。
それに、レモンさんが笑いを強要しているとは決して思っていません。
信じてくださいね。

顔文字も(笑)も、人それぞれ、いろんな思いを託しているでしょうから、それでいいと思います。
ただ、自分は使わない、それでとどめるべきでした。

右の「読んでいるブログ」を見たら、レモンさんも更新されているのですね。
でも、失礼なこと書いてしまったので、今夜は罰として訪問を自粛します。
by のすけの母 (2007-03-11 22:48) 

のすけの母

eguchiさん、こんばんは。
(笑)について、eguchiさんが仰るように、「一概に否定は出来ませんが、ほどほどにすべき」というにが妥当だと思います。
私は、思ったことをすぐ言葉にしてしまうところがあり、かなり反省をしています。
早計でした。

ブログというものが、どういう思いの人がどういうふうに読むかかわらないので、もっと配慮して書くべきだということを、eguchiさんはやんわり教えてくださったようで、ありがとうございます。
私も、まだまだまだまだです。
深く反省しております。
by のすけの母 (2007-03-11 22:58) 

e-g-g

いやいや、やんわりと教えるなんて、とんでもない。
「音楽のある暮らし」の記事、私は好きです。内容に共感できることが多く、それと文章も読みやすいですから。これは要は主観と客観のバランスがうまくとれているから、と思ます。

ブログは自分に向かって書いているところもありますよね、いや小説だろうとエッセイであろうと、つまるところ自身のために書くのが文章と思います。だから自分が最初の最良の読者でもあるわけですね。自分が感動しない文章は、その人にとっては悪文です。ブログの存在理由は十分に踏まえたうえで、第三者の評価はその次。もちろん読者を意識するのは大切なことですが、変わった言い回しでも、絵文字を使っていても、内容があれば必然的に読者に届くはずです。そのうえで文章力が洗練されれば理想なんですが、これはなかなか難しい。

“思ったことをすぐ言葉に”することも大切ですよね。いろいろと考え過ぎずにスパッと書く、これはすごく大事なことと思いますし、ひとつの才能でもあります。どんどん書きましょう!

と、ここまで書いて、釈迦に説法それと論旨がまとまってない!、と深く思い至ってます。でも、勢いで「送信」します。
by e-g-g (2007-03-12 00:28) 

ポッチ

のすけの母さん、こんばんは。
やはり、【その3】で盛り上がってますね(笑)。あ・・・
(笑)や顔文字、!、?、♪、ネット上でのコミュニケーションを豊かにするものの一つとしてみれば、特に気にするほどでもないと思うんですけど・・・私が鈍いのでしょうか。ケータイの絵文字はどうですか?
私の場合、これからも(笑)、!、?、♪ 多用すると思いますが、よろしくお願いしますね♪(eguchi さんのコメント、さすがですねー)
by ポッチ (2007-03-12 03:21) 

coco

のすけの母さん、こんばんは!

なんかこういう話題の中では緊張してしまいますが...。
文章書くのって本当に難しいですね..だってその人の教養や品性がかなり出てしまいますから...それはブログだけでなくコメントにいたってもです。
私、ケータイの絵文字じゃんじゃん使っていますし(友人に親しみをこめて)(笑)は相手への強要ではなく、照れと自分を嘲笑しているような意味で使っちゃっています。でもそれも私のキャラクターとして許して。。なんて甘えているので、いけないと知りつつも使ってしまうと思います、すみません_(_^_)_ 
しかし現在は自己表現の形が多様にあり私は、その人を知る上で楽しんでいます(^^♪

母さまの率直な意見大好きですよ~私はうらやましいです。どんどん発してくださいね(^_^)v 

長々と_(_^_)_  (と一杯顔文字すみません!!!)私も勢いで送信です!
by coco (2007-03-12 18:09) 

のすけの母

eguchiさん、ありがとうございます。
eguchiさんのような人生の達人に誉められると、単純な私はすぐ図に乗ってしまいます。あまり誉めないでくださいね。
私は、文章を書くのは昔から好きで、ブログという存在を知ったときは、本当に嬉しかったです。
それでも、誰にも公開しない日記と違って、たとえ匿名でも公開する以上、責任を持って(署名するつもりで)書かないといけない、とは思っていたつもりですが、時々こうやって筆がすべってしまいます。
ただ、書くことで、それに反応してくださる方がいて、それが自分を磨くきっかけになるのであれば、書いてよかったのだ、と無理やり言い聞かせています。

また、いろいろご教示ください。
お叱りも、よろしくお願い致します。
by のすけの母 (2007-03-12 23:48) 

のすけの母

ポッチさん、こんばんは。
絵文字も記号も、その人の思いがあって使っているものを、私がとやかく言う権利はないですし、なんか言うつもりもありません。
ただ、なんの考えもなく、絵文字や記号を多用することに違和感を覚えるのです。
ですから、ここで皆様が書かれる記事やコメントについては、なにも問題にすることはありませんので、よろしくお願いします。
誤解を招くようなことを書いて、お騒がせして、申し訳ありませんでした。
by のすけの母 (2007-03-12 23:51) 

のすけの母

COCOさん、コメントありがとうございます。
上のポッチさんのところにも書きましたが、ブログへの投稿やコメントについては、なにも問題にしてないので、どうぞいつもどおりコメントしてくださいね。COCOさんらしさを存分に出してください。顔文字OKですよ!
本当に、誤解を招くようなことを書いて、申し訳ありませんでした。
by のすけの母 (2007-03-12 23:55) 

林艮

こんにちは。はじめまして。楽しく読ませていただいてます。

(笑)や顔文字の使い方は,「パソコン通信」を始めたころ(十数年前)から,ずっと難題です。
文字だけだと尖ってしまう場合もあるし,かといって安易に使うと煩いし…

でもそれって「文体」と同じだな,と最近は思うようになりました。ですから,場面や相手に合わせて使うようにしています。
「記事」は特定の人向けではないし,ほとんど話し言葉にしないのであまり使いませんが,コメントやメールには,相手によって (^^ (^^; (^^ゞ (^^)/ あたりを結構使います。(笑)も「自分が笑ってます」という意味でときどき。
いろんな顔文字を,百面相のようにうまく使いこなしている方の文章を読むのも,なかなか楽しかったりします。

新参者ですが,よろしくお見知りおきくださいませ。
by 林艮 (2007-03-13 12:41) 

ポッチ

のすけの母さん、こんにちは♪
のすけの母さんに「申し訳ありませんでした」なんて言われると、こちらの方が申し訳ない気持ちになっちゃいますゥ。。。
今回のコメントのやりとりを見たら、太田さんは何てコメントしてくれるんだろ・・・聞いてみたい気もします。
となると、やはり「筆者に会いたい」ということになるのかな(笑)。
by ポッチ (2007-03-13 12:56) 

のすけの母

林艮さん、はじめまして。
このような独りよがりの文章を読んでいただき、恐縮です。
書き言葉でも話し言葉でも、基本は相手あってですね。
不特定多数の読み手を意識する記事と、特定の人へのコメントとは、当然表記が違ってくると思っています。
もう、少々言いすぎのある記事でしたので、どうか読み捨ててくだされれば、幸いです。
by のすけの母 (2007-03-13 13:50) 

のすけの母

ポッチさん、ありがとうございます。
なんかもう、この記事に触れられると、胃が痛み始めますので、もうこのへんで解放していただけると嬉しいのですが。
自分で書いておいて、それはない!とつっこまれそうですが。
いっそ、削除した方がいいのでしょうか。
愚痴っぽくなってすみません。
by のすけの母 (2007-03-13 13:53) 

 へへへへへ、まだ、解放しませんぜ(悪人)。
 母さま、ほんと、ごめんね(タメぐち)。

 特に、理由もなく、ぷぷいっと、何げない気持ちで書いたので(それが、いけないのか……)、焦りました。
 私の方こそ、ご迷惑をお掛けしてしまったようで、痛烈に反省しております。
 申し訳ないです。
 もう私と云う人間は、尊敬している方に限って、はしゃぎすぎの悪ノリで、バカなコメントを書いてしまうようなので、お恥ずかしい。
 わざわざ、こちらにコメントまでしてくださったこと、とても感謝しています。

 よし、それでは、深刻な事は陽気に伝えるべし、と(やや違うかな)、私が、今まで見た中で、いちばん使いたくなった顔文字を、ここで披露してみます(決まり悪さを、隠す為なり……)。

 (^_^)(^_^)(^_^)(^_^) ( ^ _ ^ )

 それから最後に、やっぱり、きちんと言います。
 母さま、ほんとうに、ごめんなさい。

 
by (2007-03-14 01:57) 

のすけの母

ああ、どうかお許しください。
解放してください。

私は尊敬に値する値打ちなど微塵もありませんが、レモンさんのノリは大好きです。
幅広い知識にウィットをちりばめた言葉が、それはそれはよどみなく流れてくるレモンさんの文章は、いつも読んでいて楽しく、かつ勉強になります。
そんなレモンさんにあやまらせるとは、私が悪いです。
ごめんなさい。

ということで、本当にこれで解放してくださいな。
by のすけの母 (2007-03-14 16:50) 

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